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大学入試TOEFL導入の経緯

2013.05.18.00:03

大学入試にTOEFLを導入するという提言ですが、これは、経済同友会によるプロジェクトチームの提言書に基づくことが判明しました。
楽天の三木谷社長が委員長をつとめています。

http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2013/130422a.html

これを見ると、TOEFLのレベルが高校の課程に合ってないことも、測定限界を下回る大学が出てくることも織り込み済みの上、あえて強行突破を図っているものだということがわかりました。

英語教育界への一種のショック療法を狙うものですね。TOEFLがまったくできなくても、国際基準と比べて自分がいかにできないかショックを受けておけ、というふうにも読めるのですが。

その文書に出ている、英語教員のTOEICスコアなど、なかなか衝撃的(?)なものがあります。

韓国の大学入試改革も研究しているようですから、日本でもそうすればいいことはわかっているはずです。自前で作るのでは時間がかかりすぎるから、とりあえず既成のTOEFLで、ということが推測されます。

TOEFL導入案についての疑問

2013.04.26.23:58

英語とは直接関係ないのですが、『大学破綻』という本を読みました。
基本的に斜陽産業である大学界は、あと10年で100校くらい破綻するかも、と言われています。
実際にそういうこともありうると思っています。
私の学校は、たまたま「完全公設民営」だったので、公立大学法人に転換するという一発逆転に成功しそうですが、そうでなければ、確実に危なかったと思います。
こういうジャンルの本は最近たくさんあるのですが、この本はなかなか、しっかりした著者でよかったですね。
その中で、「それほど勉強のできない人を入れて一人前の社会人に教育していくというミッションの大学も大切だ」という論点がありました。まったくその通りです(うちの場合は、専門的な技術を習得させるものなので、それとはちょっと異なりますが)。

というのも私は自民党の「大学入学資格にTOEFLを」の論にまったくあきれているからでして、そういう「全入時代」に対応したミッションをまったく無視した案だと思うのです。
TOEFLというのは、そこそこの大学に合格した人が、「よし留学をしよう」と決心して、必死になってさらに勉強して受けるものですので、それを入学資格にするというのはまったくずれています。
こういう、英語教育やそもそもテストの難度のこともわかっているか疑問である人たちの案は現実的ではありませんし、多くの反対にあってつぶれるであろうと予想しています。

大学入試改革によって、英語学習の方向転換を促すというのはいいのですが、まず手っ取り早い方法として、センター試験をリスニング・リーディング半々の配点にすればいいし、それで不足なら TOEIC SWテストみたいなコンピューターに吹き込んでやるスピーキング試験をプラスすればよいでしょう。
そもそもそういう国家政策を、アメリカの一機関のテストに頼るというのは、よほどの小国ならば別ですが、日本のような規模の国がやるべきなのか、という問題もありそうです。

自国の英語教育政策は自国で決めるべきです。こういう政策を考える人は、英語のことはすべてネイティブの人々がいちばんわかっているという「native speaker fallacy」を持っているようですね。ETSの試験を採用するというのは無自覚のうちにアメリカの価値観が入ってくることになりませんか。そういう「外注」は国として危険ではありませんか。

それと、「大学教育とはエリート教育であるべきである」という価値観が政治家に見え隠れしているのが気になるのです。彼らは「下位学生をまともに育てるミッションを持つ大学」などが存在することを認めず、そんなものはない方がいい、と思っているらしい、という印象を与えられるのです。進学率が下がった方がいいと本気で思っているのかもしれません。いずれにしろTOEFLの案は、エリート養成の大学のことしか考えていない政策案かなと感じます。

その、レベルが高校教育とまったく合ってなく非現実であること、国の政策として妥当なのかということ、そして、大学教育に対するエリート主義的な偏向が感じられること、この三点が、疑問としてあげられます。


大学破綻  合併、身売り、倒産の内幕 (角川oneテーマ21)大学破綻 合併、身売り、倒産の内幕 (角川oneテーマ21)
(2010/10/09)
諸星 裕

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ノンネイティブ視点の入ったSLA・言語教育概説

2013.04.15.22:27

SLAとそれの英語教育法への応用についての概説、なんて本は洋書にはあまたあると思いますが、その中でもちょっとひと味違うなあ、というのを見つけました。
最近、Vivian Cook というイギリスの学者(おじさんですよ)の、multi-competence というコンセプトを知りました。応用言語学やSLAの世界では知られているのかもしれませんが、今まであまり聞いたことなかったですね。
これは簡単に言うと、すでに第一言語を習得している人の第二言語習得は、独特の性質があるということです。
つまり、母語に加えて他の言語もできる、ということの「強み」を考えてみよう、というアプローチだと思います。単に、いかに他言語のネイティブスピーカーに近づくかという視点ばかりで考えるものではない、ということですね。
そこで、「ネイティブスピーカーにひたすら近づこうとすることが第二言語習得の目標なのか」という疑問も提示されますし、また、「第二言語の授業で第一言語を使って何が悪いのか」というような主張も出てきます。

これは、まさに私が考えていたことで、日本人も、英米人にいかに近づくかということではなくて、「日英両語を使えるという強みをどう発揮するのか」という視点で考えていくべきだ、ということですね。
また、その視点からすれば、学習法も当然違ったものになっていく、ことでもあります。

multi-competence については、検索すればWEBサイトも論文もあるんですが、応用言語学の話ですからどうも難しかったのです。その点この本は、そういう multi-competence の考えが随所に入りながら、まったく予備知識なしで読め、SLAや学習法・教授法について概観が得られるというかっこうの本になってますね。ただし、TOEFLリーディング100点レベルの読解力は必要だと思いますが。

World Englishes の考えも入っていまして、私たちノンネイティブスピーカー側にかなり立って全体を概観しているというが貴重な存在だと思います。
日本語の概説書にしても、多くは「ネイティブスピーカーをモデルとする」ことを全く疑ってない立場から書かれたものが多くないでしょうか? 
multicompetence のコンセプトはもっと世の中に広がるべきだと思います。


Second Language Learning and Language TeachingSecond Language Learning and Language Teaching
(2008/06/27)
Vivian Cook

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from p.11

multi-competence: the knowledge of more than one language in the same mind

the independent language assumption: the language of L2 learner can be considered a language in its own right rather than a defective version of the target language (sometimes called 'interlangueage')


かなり古い版の訳が出ているのですが、どの程度違うのかわからないですね。


第2言語の学習と教授第2言語の学習と教授
(1993/09)
ビビアン クック

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含蓄あることば

2012.08.18.12:36

曽根宏さんの『品格ある日本人の英語』に印象的なことが書いてありました。

英語を話すとき、日本人はネイティブになることはできませんし、またその必要もありません。小説家の赤坂真理さんは、アメリカ留学時代に英語の先生(もちろんアメリカ人)に「日本語訛りをなくすな。あなたが英語を話すことを『普通』と思われてもダメ。相手の制空権に好んで入るのは、つまりネイティブ・スピーカーのように話そうとするのは、立場が下だとみずから宣言するようなもの」と言われました。その時はあまりわからなかったけれども、20年以上時がたって、すごさがわかった忠告だったと述懐しています(日本経済新聞2008年6月28日朝刊P19 コラム「赤坂真理のうらやましい悩み」より抜粋)。  (P.43)


なかなか含蓄ありますね。つまり鈴木孝夫さんが言っているのはそういうことなんですよ。それが言語戦略であって、外国語とは政治であるということの意味なんです。
そういうことを、アメリカ人ではふつうの英語の先生がわかっている、ということなんですね。日本では鈴木孝夫氏がいっしょうけんめい言っているが、あまりわかっている人がいないことなのです。

ほかにも、曽根氏が見聞した、日本人が英語で渡り合う時の心構え、やり方などの話がいろいろあって大変面白いです。
相手に気合い負けしてはダメなんですね。そういうことがわかっているのが国際人なのであって、英語がペラペラと話せれば国際人というわけではないんです。勉強になりますね。
ネイティブを教わる対象と思っている限り日本人は劣等感から抜け出せないです。その問題はわりと真剣に考えた方がいいと思います。英語教育が英米追従の雰囲気を作ってしまっていないか、ということも考える必要があります。


岡倉天心とか新渡戸稲造、鈴木大拙などの偉さもまたわかります。


追記: 検索してみたら、TEX加藤さんもまったく同じところを引用して感心していました。

Kindle Touch つながりました

2012.07.03.02:40

その後の Kindle Touch ですが、

こちらのページの情報で、接続に成功しました。

ただ私は、キンドルの設定画面をスクロールする方法が最初わからず、そういう初歩的なところでつまづいていました。上下に指を動かす(swipe)んですね。なるほど。
ということで返品や買い換えは思いとどまりました。

つながりましたが、電池の節約のため、ダウンロード時以外はオフにしております(笑)
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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