スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「基本にカエル英語の本」の限界について

2010.07.01.00:38

やり直し英文法の本として、前におすすめしたことのあるこの本なんですが、

基本にカエル英語の本 英文法入門 レベル1基本にカエル英語の本 英文法入門 レベル1
(2007/07)
石崎 秀穂

商品詳細を見る


実際にこれを使って教えてみて、限界も感じるようになりました。

たしかにわかりやすく初歩の初歩を書いてくれています。その限りではなかなか類書はなく貴重な存在ではあるのですが、そこで教えようとしている英文法が、やはり「学校文法」という限界を超えていないんですね。

もう少し英語の本質に肉薄するような、はっと目を開かれるような視点は皆無で、ただ、学校の文法をできるだけわかりやすく教える、という、あくまで塾講師のノリというわけです。

例をあげますと、「~~すること」という意味で、to不定詞と~ingの二つがある、と教えます。そして進行形は be +~ingだ、そして名詞を修飾する~ing形、というふうに教えていくのですが、そこには、この~ing形が持っている基本的なイメージへの言及がなく、このような多様に現れる~ing形を統一的に捉えるような視点は与えられません。

というのは、大西さんの「ハートで感じる英文法」のDVDを見れば、この~ing形が「躍動感」を本質として持つことが語られ、その視点からいろいろな~ingの用法が全部直観的にわかることが教えられます。

3ヶ月トピック英会話 ハートで感じる英文法 DVDセット3ヶ月トピック英会話 ハートで感じる英文法 DVDセット
(2006/02/15)
大西泰斗

商品詳細を見る


むしろそういう教え方の方が、本当の意味でわかりやすいはずなのです。

「基本にカエル英語の本」はあくまで優秀な塾講師のレベルであって、学校文法の枠を破って新しい発見を促すようなところは何もありません。

ですから本当は、大西さんが(田中茂範さんでも)、そういう斬新な視点から本当に初歩から始まる英文法の本を書いてほしいんですよねえ。田中さんの『チャンク英文法』も、いい本なんですが、初歩向きでなく、既に中級以上の人が頭を整理するための本ですから。

この意味で、まだ本当にいい「ゼロからの英文法」の本は書かれていないということなんですよ。ハートで感じるのDVDは、初級の人にはむずかしいレベルですからね。

今出ている本の中では『基本にカエル』がいちばん初歩からわかりやすくできているので、当面はこれを使いつつ、「ハートで感じる」などで仕入れたことを、教師が教えて補っていく、というやり方をとっていくしかないかもしれません。いっそ自分で本を書いてみるのが早いかもしれません。

あとそれから、『カエルの本』についての疑問といえば・・この本はせっかく、バケツを並べるというイメージで英語の「枠構造」を語っているのに、第4文型・第5文型は三巻目のいちばん最後にちょろっと出てくるだけなのはなぜ? ということがあります。これはもっと力を入れてもいいはずなんですけどね。大西さんはこれについて「ピボット」とか、感覚的に理解する方法を提案してますが、そういうことも取り入れれば、かなり面白くできるんじゃないですかね。

なお、『カエルの本』のオルターナティブとしての、たとえば『英文法のトリセツ』にしても、やはりそれは「優秀な塾講師のレベル」であることには、変わりないと思います。英語自体についての洞察はあまり感じません。
関連記事
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

このブログのコメントは承認制にさせていただいています。コメントの掲載については管理者にご一任ください。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
 
QRコード
QR
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。