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英語の教育に欠けているもの

2013.11.15.20:13

韓国語の学習経験から英語学習の話になりますが、項を改めますね。

私がこれまでにお世話になった韓国語学習本に、『前田式中級文法トレーニング』という本があるのですが、これは、リーディングの文章があって、それにいろいろ文法解説や練習問題がついている、という、英語の教科書に近いような形です。
やはり、こういう形は非常に進めやすい、と感じました。

英語の場合も、学校でやっているように、ある英文を読んでいって、それに文法解説を加えるという方式が、根本的に間違っているわけではないと思います。
ただ、足りないところは、そのように「読み」としてわかったものについて、さらに音声的にもインプットする、そして、それを口に出して反復する、というトレーニングなのです。つまり、第一には、音声と文字を一致させるというプロセス、第二には、音声を発する筋肉運動の回路を構築するという過程です。

そこに、音読やシャドーイングという活動の重要性があります。
これについてはあまり英米の人は言っていないかもしれませんが、先に書いたように彼らは「母語と英語との差にまつわる問題」をそれほど意識していません。日本には川島さんや門田修平さんの研究があり、音読やシャドーイングの研究については日本の方が進んでいると言うべきだと思います。

ですので、リーダー的な教科書自体に問題があるわけではありません。
ただ、音声を含めた定着活動を十分にしないまま「目で見てわかる」ことだけで無理矢理に進度を進めて、どんどん難しいものを読ませようとすることに問題があるのです。ですがこれは、大学入試に対応するためという面があるので、入試が変わらないと根本的には変わりません。「読む」というスキルだけ突出して高いものを求めるという入試が変わらないと、4技能をバランスさせた授業をやりたくてもできないだろう、ということです。
たぶん「駄目な英語入試問題を批判するサイト」みたいなものをたくさん作って世の中の流れを変えないといけないですね。
言っておきますが、大学の英語教員も、40代くらいまでの人はかなりまともなんですよ。
問題は、お年を召した古い考えの方々です。こういう人が引退しないとなかなか変わりそうもありません。

ですが、入試改革のことはひとまず置いて、考えられる授業改革は次のようなものがあります。

・教科書にCDをつける
・英文の和訳は先に渡してしまい、授業では英語の定着活動に時間を割く。
・文字と音声を一致させる。その際、音連結など音声面の基礎知識を教え、正確な音読ができるよう指導する。
・音読を評価の対象とする。
・やさしいものの多読を取り入れる。

こういうことが、日本語母語話者に対して、30~40人もクラスの人数がいるという条件下でできることだと思います。会話の練習など、その人数のクラスでやってどれだけの成果があがるのか疑問です。今は安価なスカイプ英会話もあるのですから、こういう多人数会話授業の形態は少し時代遅れではないでしょうか。まずは、正確な音読ができるように指導することが先決のような気がします。

英語の教員養成システムに問題が大きくあることはもちろんですね。
小学校にも英語の教員が必要になってきているわけですが・・
しかし、今の教員養成のしくみというのは、どの教科であっても、その科目の教え方については「なんとか科教育法」とかいう科目の単位だけしか要求されていないのです。あと、どの程度「教え方」を教えるかはその大学の判断に任されているのですが、教職関係科目はとてもたくさんあるので、実質的に「なんとか科教育法」以外に、その科目の「教え方」は教えていないと思います、多くの場合は。
ですから、英語に限らず、どの教科でもその科目の教え方についてはほんとうに最低限のことしか教えられていないのが今の教員養成システムで、教え方を勉強したい人は大学院に行くしかないのが現状です。

しかし英語を教えるというのは、単に知識を伝達するというだけでなく、スポーツのコーチのようにスキルを上げるためのトレーニングを提供するという面が強いのです。ですので教え方の可否がとても影響します。しかし教員養成システムは基本的に「知識の伝達」を中心に設計されているのでそこにすれちがいが生じるのです。
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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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