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なかなか滋味あり

2010.02.25.00:14

『世界一わかりやすい英語の発音の授業』がよいと思ったので、同じ著者(関正生さん)の英文法バージョンを手にとってみました。



基本的なコンセプトは大西さんのハートで感じるとかネイティブシリーズと似ていると思います。公式英文法でいろいろと分類して暗記になってしまってるのを、コアにあるのはこういうフィーリングだということを説明して理解させる、という手法です。



これ、なかなかよく書けてると思います。前にも感じましたが、著者は英語学や英語史をちょいとは勉強しているので、その知識も役立ってますね。



大西さんの本がよかった人はこの本もおすすめです。

この手の本がもっと増えるといいと思います。ほんとにかなりできないと(ネイティブの感覚がわかっていないと)こういう説明はできないものなのです。提示のしかたもうまいです。



初学者むけではありません。高校生以上が対象でしょうか。学校文法だけしか知識がない人は、こういう本をちょっと読んでおくといいです。



ほんとの初級者を教えるのにこういう知識をいかに使うか、というのは考えるところですね。たとえば、「未来は will ですよ」と教えるのはちょっと違うわけです。英語には未来形という文法はありませんし、will は話し手の意志が入っていますのでニュートラルな未来ではないのです。will = be going to なんて書きかえとか、これがイコールだなんて錯覚を与えてはいけませんね。



追記:

この本のコラムで、語中にある [t] が有声化して [d] になる問題について言及してあります。それについてはこのブログでも前に書きましたが、その時は、さらにそれが「たたき音のR」になるということはあえてオミットしたのではないかと推測しました。ところがこのコラムを読むと、「[r]のように聞こえるが[r]ではない」と断言してますね。どうもこれは、著者に英語学を教えた先生はそういうふうに教えていたのかもしれません。しかしながら、ここで「[r]とはどういう音か」が問題となるのです。実は[r]とは一つの音ではありません。英語の[r] 日本語の[r] ドイツ語の[r] スペイン語の[r] など、音声学的には全部違う音です。ただこの多様な[r]が一つの言語内で意味を生み出す区別をつくっていることはありません。

つまり語中の[t]が音変化して英語の[r]になるわけではないのは確かですが、それは日本語の[r]としてしばしば登場する「たたき音の[r]」にはかなり近い音になるので、日本語話者はこれを「ラ行の音」として認識する可能性がある、ということです。waterは「ワラー」に聞こえる、というわけです。たたき音の[r]といいますのは、たとえば何でもラ行の音、「ラジオ」「りんどう」などふつうに発音してみると、舌の先が上の歯茎にかすかに接触して、はじくような挙動をします。これがたたき音のrと呼ばれるものです。この音は調音の原理としてはかなり[d]と近似しています。

ですので、「[d]が[r]のように聞こえるのだ」という著者の説明はちょっと不足で、日本語の[r]音の特質を考慮に入れた説明をするべきだったでしょう。


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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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