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靜哲人『絶対発音力』 ――最強の発音入門本か

2010.03.04.17:45

発音を一から練習するテキストをずっと探してきて、ここに行き着きました。

結論からいえば、これは私が今まで見た本の中でいちばんいいです。



これを読む前まで、関正生の『世界一わかりやすい英語の発音の授業』をテキストにしようかと思っていましたが、逆転されました。



この『絶対発音力』は、最初から少しずつ難度を上げていく練習のシステムが、ひじょうによくできていると思えたのです。



『世界一・・』には、いくつか問題があると感じていました。たとえば、u の短母音と長母音とで音色の違いがあることに触れながら、それを発音しわけるようにはしていないことや、t がたたき音の r になることの説明が不十分だったり、k が帯気音化することをいってなかったり、いくつか穴が見られました。その点がさすがに靜さんの本にはないです。ただし、t のたたき音化はちょっと触れているだけです。



ただ『絶対発音力』で残念なのは、綴り字と発音との関係を完全には教えていないことです。たとえば語末の「黙音の e 」のことなど、出てきません。ですので、フォニックスの本を合わせて見た方がこの点はいいと思います。それと、音のつながりについても取り上げてありますが、弱形になったり音変化についてはもっと詳しい本もあるので、少しかんたんすぎるかなあという印象もありました。あと50ページくらい厚くすれば、そういうこともできると思いますが、入門書としてはこのくらいでOKということでしょうか。



それと、あいまいな a の長音が、r の音色を帯びるアメリカの発音について述べず、パスしています。この音はむずかしいので、無理して練習せず、イギリス式の r の響きがないものでいい、との判断なのでしょうね。発音記号もできるだけ使わないし、すべての母音・子音を網羅しているわけではありません。あくまで、日本人にとってむずかしいところにフォーカスしているという作り方です。



もう一ついうと、top, hot などの母音の発音は、日本語の「オ」から始めて「ア」に近づけろなどと指導しています。普通この音は「口の中に指三本入るくらい大きく開ける」などと指導されるのですが。静さんの指導法ですと、アメリカ英語の指三本の a ではなく、それよりもう少しイギリス英語よりの音が出るのではないかと思います。でもそれが、彼のここでのポリシーだと思われます。つまり、できるだけ日本人にとってやりやすい音で、しかも、世界のどこでも誤解されず通じるような発音ということで、アメリカ・イギリスどちらの標準にぴたりと合わせねばならぬ、という考え方ではないわけです。どちらの標準からもちょっとずれますが、「許容範囲内」に収まるということですね。



アメリカ式とイギリス式が混在することはまずいのでは? どちらかに統一した方がいい、という意見もありますが、靜さんは、べつにかまわない、との意見です。母音は地域によってゆれば大きいので、だいたいでいい、むしろ大切なのは子音だ、との立場です。私もこの考え方はプラクティカルでよいと思います。



というわけで、この本は、発音入門書として私の一押しの地位を占めました。



ただここで紹介した、関本のほか、『英語舌』だとか、フォニックスの本なども、いい本ではあります。併読するのは大いにすすめられます。
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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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