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英語教育について(まとめ風に)

2010.05.01.14:07

先に書いたように、英語教育に関する本を何冊か見ましたが、それほどよいものはありませんでした。

ただ小学校英語にまつわる議論で共通して出ていたのが、「英語を話せるようにする」ということへの強迫的な思考パターンで、これは経団連なんかの、英語教育について素人の人たちの意見が反映されている、という指摘もありました。

思うんですが、生徒たちは、「英語は必要だ」ということを信じていません。
「英語ができると有利なことはたしかだが、できなくても生きてはいける」と思っています。その認識は、事実と合致しています。
いくら先生たちが「英語は必要だ」と言ってところで、それは「エリートになろうとする人には必要」あるいは「分野によっては必要」なのであって、すべての国民にとって必要だというのは虚構だ、ということは知っています。
ですから、「英語ができなければならない」というのはイデオロギーであることは、一部の人を除いてだいたい知っているわけです。

学校の科目として考えても、たとえば、「数学は必要だからやる」のではありません。数学が必要だという職種は、かなり限られます。ほとんどの人は、四則計算くらいができれば生活には困りません。

ですから、「英語は必要だからやる」のではないのです。「話せるようにまでしなければならない」という考え方をする必要はありません。
数学が、論理的思考を養うのに有効であるように、外国語の学習は、「言語に対する認識を深めるのに有効」ということがあります。
これは、英語だけではなく、韓国語など日本語と文法的に近い言語もあわせてやると、いっそうよくわかります。

外国語は、日本語とはこんなに違う言語がある、という発見ができれば、その教育目的の半ばは果たされます。
全国民に課す外国語はそういうレベルで行って、一部の、それが将来も必要だと判断して選択する人に、教育資源をより集中する方がいいでしょう。

人が、どういうふうに英語を必要とするようになるかはわかりません。私のフランス語のように、会話は必要ない、読むだけでいいという昔風の外国語能力でも、ニーズに合致していればOKなのです。

ですから、教えるべきものは、発音や文法の基礎の基礎で、やさしい英語で書かれた文のリーディングやリスニングができるまでに持っていくまででいいのかな、と思います。いろいろ学習教材は山ほど出ていますので、基礎の基礎さえしっかりできていれば自分でも伸びていかれます。
全員に対する到達目標を思い切って下げて(今、高校の指導要領では2級程度までいくという、現実を知る人には考えられない目標が出ています)、その「やさしいレベルにおけるインプット」を、多読多聴の形で与えていく、というスタイルに転換すれば、基礎はできます。日本語に訳して理解するスタイルをやめれば、今よりももっと話すのも容易になるはずです。

英語教育に対する過剰な期待や、強迫観念を批判するのはよいのですが、学校教育にはインプットが足りないという大事な点を指摘するような論があまりなかったのが残念です。オーディオリンガルや文法学習の意義を強調するのでは、説得力がないかなと思います。話すようになる(アウトプット)の前提としてまず大量のインプットだ、という論点が、「会話をやれ」「いや文法だ」というような議論からは抜け落ちています。第二言語習得論を無視した不毛な対立です。学校英語の半分くらいをインプット学習に当てるということは真剣に考えてもいいと思うのですが、寺島氏のように「この生徒たちが英語での授業なんかわかるはずないだろう」というやや感情的な反応しか出てこないものでしょうか。インプットのレベルなんかいくらでも調整できるんです。荒れてしまったのは、中学校からの教育法に問題があるからです。高校では選択にすればいいのです。
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theme : 英語・英会話学習
genre : 学校・教育

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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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