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TOEFL導入案についての疑問

2013.04.26.23:58

英語とは直接関係ないのですが、『大学破綻』という本を読みました。
基本的に斜陽産業である大学界は、あと10年で100校くらい破綻するかも、と言われています。
実際にそういうこともありうると思っています。
私の学校は、たまたま「完全公設民営」だったので、公立大学法人に転換するという一発逆転に成功しそうですが、そうでなければ、確実に危なかったと思います。
こういうジャンルの本は最近たくさんあるのですが、この本はなかなか、しっかりした著者でよかったですね。
その中で、「それほど勉強のできない人を入れて一人前の社会人に教育していくというミッションの大学も大切だ」という論点がありました。まったくその通りです(うちの場合は、専門的な技術を習得させるものなので、それとはちょっと異なりますが)。

というのも私は自民党の「大学入学資格にTOEFLを」の論にまったくあきれているからでして、そういう「全入時代」に対応したミッションをまったく無視した案だと思うのです。
TOEFLというのは、そこそこの大学に合格した人が、「よし留学をしよう」と決心して、必死になってさらに勉強して受けるものですので、それを入学資格にするというのはまったくずれています。
こういう、英語教育やそもそもテストの難度のこともわかっているか疑問である人たちの案は現実的ではありませんし、多くの反対にあってつぶれるであろうと予想しています。

大学入試改革によって、英語学習の方向転換を促すというのはいいのですが、まず手っ取り早い方法として、センター試験をリスニング・リーディング半々の配点にすればいいし、それで不足なら TOEIC SWテストみたいなコンピューターに吹き込んでやるスピーキング試験をプラスすればよいでしょう。
そもそもそういう国家政策を、アメリカの一機関のテストに頼るというのは、よほどの小国ならば別ですが、日本のような規模の国がやるべきなのか、という問題もありそうです。

自国の英語教育政策は自国で決めるべきです。こういう政策を考える人は、英語のことはすべてネイティブの人々がいちばんわかっているという「native speaker fallacy」を持っているようですね。ETSの試験を採用するというのは無自覚のうちにアメリカの価値観が入ってくることになりませんか。そういう「外注」は国として危険ではありませんか。

それと、「大学教育とはエリート教育であるべきである」という価値観が政治家に見え隠れしているのが気になるのです。彼らは「下位学生をまともに育てるミッションを持つ大学」などが存在することを認めず、そんなものはない方がいい、と思っているらしい、という印象を与えられるのです。進学率が下がった方がいいと本気で思っているのかもしれません。いずれにしろTOEFLの案は、エリート養成の大学のことしか考えていない政策案かなと感じます。

その、レベルが高校教育とまったく合ってなく非現実であること、国の政策として妥当なのかということ、そして、大学教育に対するエリート主義的な偏向が感じられること、この三点が、疑問としてあげられます。


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(2010/10/09)
諸星 裕

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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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