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ノンネイティブ視点の入ったSLA・言語教育概説

2013.04.15.22:27

SLAとそれの英語教育法への応用についての概説、なんて本は洋書にはあまたあると思いますが、その中でもちょっとひと味違うなあ、というのを見つけました。
最近、Vivian Cook というイギリスの学者(おじさんですよ)の、multi-competence というコンセプトを知りました。応用言語学やSLAの世界では知られているのかもしれませんが、今まであまり聞いたことなかったですね。
これは簡単に言うと、すでに第一言語を習得している人の第二言語習得は、独特の性質があるということです。
つまり、母語に加えて他の言語もできる、ということの「強み」を考えてみよう、というアプローチだと思います。単に、いかに他言語のネイティブスピーカーに近づくかという視点ばかりで考えるものではない、ということですね。
そこで、「ネイティブスピーカーにひたすら近づこうとすることが第二言語習得の目標なのか」という疑問も提示されますし、また、「第二言語の授業で第一言語を使って何が悪いのか」というような主張も出てきます。

これは、まさに私が考えていたことで、日本人も、英米人にいかに近づくかということではなくて、「日英両語を使えるという強みをどう発揮するのか」という視点で考えていくべきだ、ということですね。
また、その視点からすれば、学習法も当然違ったものになっていく、ことでもあります。

multi-competence については、検索すればWEBサイトも論文もあるんですが、応用言語学の話ですからどうも難しかったのです。その点この本は、そういう multi-competence の考えが随所に入りながら、まったく予備知識なしで読め、SLAや学習法・教授法について概観が得られるというかっこうの本になってますね。ただし、TOEFLリーディング100点レベルの読解力は必要だと思いますが。

World Englishes の考えも入っていまして、私たちノンネイティブスピーカー側にかなり立って全体を概観しているというが貴重な存在だと思います。
日本語の概説書にしても、多くは「ネイティブスピーカーをモデルとする」ことを全く疑ってない立場から書かれたものが多くないでしょうか? 
multicompetence のコンセプトはもっと世の中に広がるべきだと思います。


Second Language Learning and Language TeachingSecond Language Learning and Language Teaching
(2008/06/27)
Vivian Cook

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from p.11

multi-competence: the knowledge of more than one language in the same mind

the independent language assumption: the language of L2 learner can be considered a language in its own right rather than a defective version of the target language (sometimes called 'interlangueage')


かなり古い版の訳が出ているのですが、どの程度違うのかわからないですね。


第2言語の学習と教授第2言語の学習と教授
(1993/09)
ビビアン クック

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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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