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「習得難易度」を考慮に入れた英語教育プログラムを

2013.04.10.23:33

こんな本を読んだのですが

米国の日本語教育に学ぶ新英語教育米国の日本語教育に学ぶ新英語教育
(2008/06/13)
米原 幸大

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同じような内容がWEBにも出てるのは、わかってるんですけどね。
アメリカの大学の日本語教育に衝撃を受けて、それをモデルにして日本の英語教育のプログラムを提示してみた、という内容です。

大事なポイントは「最難外国語には、それなりのストラテジーが必要」という視点でしょうか。
これまでの英米でのESLモデルは、フランス語やスペイン語話者といった、習得がやさしい言語の話者をもとに作られているものが多いので、そのままではだめだと言ってます。たしかにその通り。
そこで、コミュカティブアプローチだけでは無理で、オーディオリンガルのアプローチも入れていくべきだそうです。

母語との距離による「習得の容易さ」の問題はすごくあるのでは? と私は前から思っていたので、この指摘には納得です。
これまでの英米の英語教授法にはそういう視点がなかったです。Teaching English as an International Language という本を見てさえ、母語との距離という問題意識はないんですね。
私の場合、これまでの外国語学習経験が役立ってます。フランス語、ドイツ語などのヨーロッパ言語と、中国語・韓国語をやったことがあるのですが、特に韓国語の学習経験はかなり衝撃だったことを覚えています。つまり、これほど日本語と近くて、単語を置き換えればほとんどしゃべれてしまう言語があるということにびっくりしました。そして、たぶんドイツ語話者にとって英語とはそういうものなんだろう、さらに韓国語と違って文字まで同じなのです。そうすると、ここまで母語との距離により学習の難易度の差があるのに、それを無視して「ユニバーサル」な英語教授法など考えることに意味があるのか、という疑問は当然出てきます。

英語話者が、日本語や中国語、アラビア語などを学ぶ場合の困難さというのを認識して、それを視野に入れて英語教授法も研究してほしい、と思います。
こうした「最難外国語」を学ぶためのストラテジーとはどういうものであるのか。

この本で著者は、日本にいる多くのネイティブスピーカー英語教師が、日本語があまり上達しないことを指摘し、「習うより慣れろ」で日本語を習得できていない人が同じ方式で英語を教えているのは矛盾だ、と述べています。

つまりわれわれは、英米の英語教育法の世界が言っていることを無条件に「ユニバーサル・スタンダード」として拝聴するという姿勢を改める必要があるということです。
Sandra McKay が言っているように、その国の英語教育はあくまでローカルな事情を考慮してその地域の人が作るべきなのです。
そう考えると、今の文科省の姿勢は、あまりに英米のコミュカティブ・アプローチを盲進しすぎていないでしょうか?

政治家たちの、高校教育の実態を無視した「TOEFLの大学入学資格義務づけ」にも断固反対していかねばなりません。
TOEICもTOEFLも受けたことのない人が聞きかじりで言ってるだけなのかと邪推してしまいますね。

それはともかく、「ネイティブ信仰」からの脱却を説いている次の本は、示唆に富んでます。
習得難易度の話がないのは残念ですけどね。それは日本語話者のように「難易度の高い言語」の話者の方から声をあげて、「グローバルスタンダード」の変更を迫らなくてはなりません。

グローバルスタンダードというのは、すでにできたものを無条件に受け入れることではありません。それで不利な扱いを受けるグループはそれに抗議し、折衝の末、誰にも受け入れられるように変えていくという、そういうものが本当のグローバルスタンダードではないでしょうか。



Teaching English As an International Language: Rethinking Goals and Approaches (Oxford Handbooks for Language Teachers Series)Teaching English As an International Language: Rethinking Goals and Approaches (Oxford Handbooks for Language Teachers Series)
(2002/04/04)
Sandra Lee McKay

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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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