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再び『外国語学習の科学』

2010.04.26.00:02

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)
(2008/09/19)
白井 恭弘

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オーディオリンガル擁護派がいまも存在することにびっくりしたわけですが、今一度、現在まで第二言語習得論が到達したところを確認するため、この定番入門書を再びめくってみました。

結論は次のようにまとめられています。

「(1)言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。
 (2)意識的な学習は、
    (a) 発話の正しさをチェックするのに有効である。
    (b) 自動化により、実際に使える能力にも貢献する。
    (c) ふつうに聞いているだけでは気づかないことを気づかせ(1)の自然な習得を促進する」 p.115

これでかなり明確ですね。この本は本当に過不足なくこの分野の基礎知識がみなわかるようになっているので、特におすすめです。

これを、教育政策論に応用するならば、いかにしてインプットの量を確保しつつ、そこに意識的な文法・発音等の学習を組み合わせていくか、というストラテジーを作るか、ということになるのです。

わりと簡単にできそうなことはいくつかあります。

たとえば「3単現のs」はひじょうに習得が困難な項目であることがわかっているので、こういうものは中一の最初の頃に持っていくのはやめて、すでにわかっている習得順序の知識をシラバスの反映すること、とか

白井氏もp.135で述べているのですが、高校・大学の入試のリスニング比率を50%にする、ということです。また、伊藤サムさんなどが主張するように、教科書をすべてCDつきにし、これをテストする、ということがあります。そうすれば、いやでも、音声的インプットの重要性が意識されるでしょう。これだけでも相当に違ってきます。

発音の練習があまりに少なすぎるので、もっとカリキュラムで大きく扱うことです。

試験について言えば、大学入試に限定せず、英語力を見る試験をレベル別に作ればいいと思うんですよね。で、英語はそれを利用しろと。TOEICはビジネスに傾いた内容なので、もっと一般的な内容で、リスニングが50%のマークシート試験があったらいいと思います。TOEICがはやっているのはそれに代わるいいテストがないからとも言えますよね。英検のように合格・不合格じゃなくてスコアで出るような。そういうのを文科省が作るとTOEICから営業妨害と言われるかもしれませんが、大学入試専門じゃなくてそういう誰でも受けられるテストを作ってそれを入試でも利用するというふうにしたらどうかな、などとも思いますがいかがでしょうか。で、最初にレベル別というのは、TOEIC Bridge みたいなジュニア版もあっていいし、一つのテストだけでまかなうのは無理だと思いますので。まあ難関校が二次試験でむずかしい英文を出したければそれでもいいですけど。

で、まあ、「日本人は六年英語を勉強しても話せない」などとよく言われますが、簡単に言えばインプット量が不足している、これにつきるんです。ですからとりあえず今の英語授業スタイルがそんなに簡単に変えられないならば、生徒の人は、自主的に英語を勉強するときに、文法問題とかじゃなくて徹底的に多読・多聴をやっていって、授業での精読とバランスをとっていきさえすれば、相当のところまでいけるんじゃないかと思うんですよね。授業を内容・タスク中心にするとかフォーカス・オン・フォームだとかいうのは当面困難な話ですので、文法訳読での授業時間の数倍の時間をそういうインプット学習にあてて自主的にバランスをとっていくというのが、いま学生でいる人の実際的な戦略じゃないかという気がします。塾なんかに通うんじゃなくて、そのお金を多読多聴のための本代にすると親に申し入れましょう。

で学校の方では、教科書は和訳先渡しをやって時間を余らせ、その時間で少しでも多読多聴を取り入れて生徒にアピールするのがいいと思うんですよね。
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theme : 英語・英会話学習
genre : 学校・教育

プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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