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TOEFLの大学入試導入について

2013.03.24.12:05

大学入試、卒業にTOEFLスコアを求めるという方針が出されましたね。
本当に実施されるか、まだ願望論だけのところもありそうですが、実施されたら大学だけでなく日本の英語学習そのものを大きく変える可能性のあることです。
ここのところ大学ではTOEIC導入に動いていたので、TOEFLへの対応がまた必要になります。
問題はTOEICよりTOEFLの方がはるかに難しい試験だということですね。
TOEFL iBTは120点満点ですが、これの満点はほとんど不可能です。TOEIC990でだいたいTOEFL110点くらいでしょうが、あと10点が非常に難しい。
高卒者の英語力に大きな開きがあるので、一つの試験で全体をカバーすることが難しいです。センター試験だと上位が測定限界になってしまい、TOEFLだと下位層が測定限界になるでしょう。高卒者の下位2割くらいはほとんど0点になるかもしれません(スコアは何点か出るでしょうが、それは選択式だからですね。わかった問題はほとんどないという状態)。
為政者たちは上の層をのばすことを重点に考えていることは明らかです。TOEFL導入は上位校についてはメリットの多い話だと思います。正直言うと、この人たちは大学進学率が下がってエリート層しか大学に行かないという時代の方がよかったと思っているように見えます。例の田中真紀子の考え方もそうでしたし、それ自体には自民党も反対しなかったですね。(エリート養成をしたいのなら、中学高校段階で英語を徹底的にやる人とそれ以外に分け、後者は高卒までに英検3級くらいまでを目標にさせればいいのに、高校卒業までは平等主義なのです。大学受験段階で選別するのがいいのだ、という思考習慣があります。この平等主義によって、半分くらいの高校生にとって高校指導要領の内容は難しすぎるものになっているのが実態なのです)
ただ現実的に進学率が50%を超えるということは、大学はもはや「高校の次の学校」に過ぎなくなっており、高校がいろいろあるように大学もいろいろあるのが当たり前だ、という考え方もあるわけですが、どうも政治家たちはその考え方が嫌いのようです。

TOEFLのスコアを義務づけるといっても、その基準は大学に任せられるようです。そこで経営のために低いスコアを設定せざるを得ない大学も多いと思います。そうなるとスコアはどうでもいいから受けるだけ受ける、ということになって有名無実化する可能性もありますね。

いま大学ではカリキュラムに英語を必修にすることは義務ではないです。実際、他の外国語との選択必修だったり、外国語科目自体が完全に選択科目になっているところも少なくありません。ですから卒業要件に高いスコアを課すところは限られるでしょう。

ということでつまり、TOEFL導入は、「大学進学者を抑制する」方向に行く可能性があります。英語力が底辺クラスの受験生は大学に行きにくくなることは考えられ、下位層の大学にとってはますます厳しくなるでしょう。
「質の確保のためには大学がたくさんつぶれてもかまわない」というのが今の政府にある考え方のように思います。まあ、利害関係を離れればそれも理のあることではあるので、覚悟が必要ですね。うちも、公立大学法人化されるので多少は息をついていますが、多くの私大はますます大変になってきます。

ぶっちゃけ言いますれば、教育政策としては上位層をいかにのばすか、の方が国力の充実という点では重要なのです。ですから今の入試制度よりは、TOEFLの方が英語教育は改善するでしょう。
しかし、TOEFL受験者の数が何桁も違ってくるわけですが、それが実行可能なのか、ETSに相談したのでしょうかね。
実際にできるのか、が気になるところです。

試験そのものとしてはTOEICよりTOEFLの方がはるかにいいです。また難しいです。スピーキング・ライティングあるということでも違いますし、語彙レベルがTOEICとは違いますね。
最近、大学ではTOEICを軸にしてカリキュラムを作るところが増えていますが、TOEICからTOEFL中心へと日本の英語学習がシフトする可能性もあります。企業でもTOEFLスコアを見るようになってくるでしょう(TOEICはそもそもグローバルスタンダードではなく、日本と韓国以外では知られていない)。それ自体は良いことではありますね。

ただ、TOEFLの難度が高校の教育水準と合致していない問題はありますので、TOEFLではなくて、TOEICとTOEIC SWを使うという考え方もありそうです。すでにTOEIC中心になっている体制を大きく変える必要がないですし。
もっといいのは、ETSという米国の一機関に依存するのではなく、国がせきにんを持って、TOEIC・TOEIC SWにあたるようなテストを開発することではないでしょうか。

まとめれば、TOEFL導入はメリットもあるが、全受験生に課すにはレベルが高すぎるという問題があると言えます。
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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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