スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

フォーカス・オン・フォームについて

2010.04.09.23:27

How Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers S.)How Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers S.)
(2006/04/13)
Patsy M. LightbownNina Spada

商品詳細を見る


これは第二言語習得研究の入門書みたいなものですが、これをまたちょい拾い読みしてみたんですけどね・・
やはり、インプットを中心に、そこにどのように言語形式への注意を入れていくか、という方向に行っていることはたしかなようです。

Approaches that integrate attention to form within communicative and content-based interaction receive the most support from classroom research.  P.176

私は多読の授業をやっているんですけど、そこにどのように文法を入れていくのか、ということに関心があります。

いま、フォーカス・オン・フォームが外国語教授法としては最先端の話題となっていますが、

「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育
(2009/10)
和泉 伸一

商品詳細を見る


これを人に勧められていたんですが、ようやく読んでみました。

理念としてはたいへんよくわかりました。日本の英語教育への提言もいろいろと含んでおり、同感するところが多いです。
フォーカス・オン・フォームとはつまり、コミュニカティブな授業法をメインとしつつそこに適宜、言語形式(つまり文法ですね)への関心を呼び覚ましていく、なんていう、いわば「いいとこ取り」をめざしている手法です。
その先進的な教師の実践例が出ていますが、すごいレベルの高い授業です。
ただ・・研究授業ならともかくも、毎回これを実践するとなると気が遠くなるような準備作業が必要になるような気がします。
現行の教科書を前提としても、ものすごい準備をすれば、こういう授業ができるのかもしれませんが、現実にはなかなかむずかしそうです。
やはり、授業法として多くの人が実践できるようになるには、まずこの方法を前提としたシラバスを作り、教科書などの教材を整備し、教師用指導書も作った上で、授業実践を見学するなどの研修をしていくことが必要でしょう。

そのような教育政策大転換は、とうぶんないでしょうし、この方法を前提としたシラバスを自分で考え出すなんて能力を持つ人はごく少数でしょう。でしたらこの和泉先生あたりがトライしてもらうとありがたいです(皮肉ではないですよ)。

わかりやすく言うと、フォーカス・オン・フォームをやりたくても、教材がないってことです。やるためには、自分で大半を作らねばならないのですから、忙しい教師にはとうてい無理です。

私としては、160ページ以下「言語意識を高めるための文法シラバスの使い方」あたりが、参考になりました。
つまり「文法シラバスを生徒の言葉に対する意識を高める目的で使用するよう、発想の転換をしていく」ということで、「文法シラバスの目的を文法説明、即正確な言語理解と言語使用と捉えるのではなく、意味内容の理解、もしくはタスク達成のための1つの補助として捉え直すということ」だといいます。

最初にあげた Lightbown, Spada が言うところの Get it right from the beginning のアプローチではなく、Get it right in the end といいますか、つまり、「教えたことがすぐその場で定着するとは期待しない」ということでしょうね。

だいたい、文法を教えて、頭で理解したと思っても、実際にテストをしたり英作文をさせてみると驚くほど間違えるものです。そこで、これはまだわかってない、と焦ってさらに説明したり、練習問題をやらせたりする行動に走ってしまいますが、そうではなく、そういうものはすぐに定着しないのはあたりまえだ、ととらえるのですね。その明示的な文法知識は、実際のインプット、インタラクションなどの場において、言語形式への気づきを高め、そういうことが積み重なって徐々に身についてくる、ということなのです。これが言語習得のプロセスとしては実際的なものです。

井上大輔さんの『捨てる英語、拾う英語』でも、「文法書を速読する、ドリルはしない」というやり方が紹介されていましたが、これもそういう原則に従っていますね。

明示的な知識として文法がまったく入っていない生徒には何らかの方法で教える必要はありますが、教えたことがすぐに定着するのを期待してはいけないようです。具体的に言えば、あまりテストみたいなものをしない方がいいということになります。まず、一部の生徒を除いてぼろぼろの結果しか出ませんし、「やっぱり私は英語がだめなんだ」という暗いムードを作ってしまいます。
関連記事

theme : 英語・英会話学習
genre : 学校・教育

プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

このブログのコメントは承認制にさせていただいています。コメントの掲載については管理者にご一任ください。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
 
QRコード
QR
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。