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インプットとアウトプットのバランス、英語学習法本のあり方について

2011.11.02.12:12

ちょっとこちらを読んでみました。私はiPhoneは持っていないんですけど。

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で、著者のiPhone英語本はもう一冊出てます。

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私は後者を読んでいたんですけど。で、なんで二冊あるかというと、ちょっと内容がかき分けられているんですね。「英語をモノにする」のほうは偶発的学習、「英語学習術」のほうは意図的学習にやや重心があるようです。

偶発的学習というのは要するに多読・多聴によって、いつのまにかできるようになることをいい、意図的学習というのは気合いを入れて実際に何かの練習をすることをいう、とおおざっぱに考えていいと思います。

私は偶発的のほうの「英語をモノにする」のほうがおもしろかったですね。
というのは、世にたくさん英語学習法の本は出てますが、大半は意図的学習のことを書いていて、偶発的学習の効果を強調するのはまだ少数派なのです。第二言語学習理論でわかったのはインプットによる偶発的学習の効果ということなんですが、一般の日本人にはあまり浸透はしていません。多読などの方法がいわれるようになったのは、それでも偶発的学習の要素が知られてきてはいるということなんですが。

でも日本人はまだまだ「鬼のスポ根トレーニング」が好きだというところもあるんですよ。学習法の本を買う人は、「これだけやらなきゃだめなんだよ」と叱咤されたいのです。それで「はい、やります!」と言うのですがなかなか続かなくてザセツする、というのが一般的なパターンでしょう。
「べつに無理して瞬間英作文とかシャドーイングとかやらなくたって、ただ英語をたくさん聞いて読んで、英語字幕でDVD見てりゃ自然とできるようになるでしょ」と言われるだけでは不安なのかもしれません。「そんないい加減なことでいいの?」という感じで。勉強というとねじり鉢巻きという感覚が抜けてないんですよ。

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この本も、とにかく楽しみながら聞いたり読んだりしてりゃあいいんだ、と言っている本なのですが、本当のできる人はみんなそれを知っているんですよ。でもこの本が品切れになってるところをみるとあんまり売れてないのかもしれないですね。「最強の勉強プログラム」をびっちり書いてある本の方が売れるんでしょうね。

それで、iPhoneで「英語をモノにする」の本の話に戻るんですが、ちょっと心に残ったポイントは、「日本の英語教育ではアウトプットができないので、アウトプットの練習をしなければならないとみな思っている」という指摘ですね。たしかにそうです。世の中の学習プログラムはだいたいそうですね。でも実際は、学校の英語教育はむしろインプット不足でアウトプットを重視しすぎだといいます。これは大事なポイントですね。
つまり「診断」が違っているので「対処法」も違ってくるんですよ。「アウトプットの不足が原因」と思えばそれをやらねばならないということになるでしょう。それが瞬間英作文みたいな方法になります。だがこれは、あらかじめ、簡単な英語で大量のインプットがすでに入っていて、しかしそれをまだアウトプットする機会がない、という人には効果が高いでしょうが、初めからほとんどインプットがなさすぎるという症状の人はつらいだけですぐにやめてしまうことになります。

ほとんどの人は「英語が話せないのはアウトプットの練習が足りないせいだ」と考え、そのために英会話学校がはやるわけですが、真の原因は「インプットが圧倒的に不足しているせい」であるということなので、アウトプット量をひたすら増やす勉強法を採用するだけでは挫折するだけなのです。

学習法の本は多くあって、まったく誰もいままで考えたことのない新しい学習法を提示する、なんてことは難しいです。個々の方法そのものはどこかで見たことのあるものが大半だと思います。
ですから学習法の本で大事なのは

1 基本的な、言語学習についての考え方
2 いろいろある学習法の組み合わせ、バランスの仕方
3 具体的な教材の情報

こういうことでしょう。

1については、「偶発的学習」ということを考えに入れているかどうかがポイントとなります。ほとんどの学習法本は、それがあまり入っていません。それはまだ新しい考え方なのです。
2については、インプットとアウトプットの割合が問題となります。

「英語をモノにする」の本では、それを1:4または1:9がいいと言っています。つまりインプットのほうが多くです。
これが実は妥当な線なんですよね。第二言語習得の入門書を書いている白井氏も、「インプットを多く、アウトプットをちょっと」というバランスがいいと言っています。
ですので、アウトプット系の学習をメインにして、おまけにように多読もなどと書いているのは、アウトプットに偏りすぎの考え方ということになります。
最近は特に音読やシャドーイングをメインディッシュにするものが多くなっていますが、それも有効ではあるんですが、勉強時間の大半をそれにする必要はないです。ただ聞いてるだけ、DVD見てるだけで十分なんだ、ということを理解する必要があります。教材の本が一冊あったらそれを全部音読しシャドーイングしなければならないわけではなくて、ほとんどはCDを聞くだけでそのうち数ページだけ音読してみる、でもいいわけです。それと音読の場合は発音が悪いとインプットとしてはよくないものになるのでその注意をもっとするべきです(音読にはインプットでありアウトプットであるという両面があるので)。

ですので、「英語をモノにする」の本も、その割合は1:4~1:9なんだよということをもっと「鉄則」みたいな感じに強調するとさらによかったかと思います。そのバランスの問題がすごく大事なので。

あと3については、学習ガイドはポータルサイトのような役割をすべきです。つまり、ほかの本とか情報とかへのアクセスルートがたくさん提示されていることですね。この分野ならこの本がいい、というようなことです。実際いま英語の本や情報はあまりに多すぎるので、「自分に合ったのを選んでください」ではなくて、ある程度おすすめをいくつかに絞り込んで提案してもらうのがいいです。私もこういう本を読むときは、おすすめ本情報がいちばん有用ですね。すぐに古くなってくるのはまあしかたなんですけど。
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管理人のみ閲覧できます

2011.11.22.05:07

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 大変参考になりました

2011.11.22.19:05

こんにちは。Nさま、長文のご感想、たいへん参考になりました。ありがとうございました(^^)
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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