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「発音はネイティブに」の大ウソ

2011.10.28.21:10

アマチュアの英語勉強本をリサーチしていたら、発音のチェックをどうしたらいいのか、ネイティブにチェックしてもらうのがいいがそれも高いし、とかいろいろ考えているところに出会いました。

この人は、発音のチェックはネイティブでなければならない、と思い込んでいるようです。

実のところ、ネイティブは発音矯正にはあまり向いていません。その音が正しいかどうかの判定はできますが、どうすれば直せるかという指導はできない場合が多いからです。

発音矯正をするためには、英語と日本語の音声学を学んでいる必要があります。

ネイティブというものは自分の言語の音声現象について細かいところはわからないものです。

たとえば日本語では、私たちは「です」という語尾の最後のウの母音を発音してません。「でs」と言っています。これを意図的に「desu」と言ったときに違和感があるのでわかると思います。
また、「ん」は四通りの発音があります。すべて「n」の発音ではありません。
「はんたい」「はんかい」「はんばい」「はんえい」この四つの「ん」はすべて違う音を発音します。つまり日本語ネイティブは、次に来る子音が何であるかによって「ん」を無意識に使い分けているのです。

多くの人は言われるまで一回もそれに気づかなかったと思います。私も日本語音声学を学んで初めてわかったことです。

あなたは、外国人がどうしても「はんえい」を発音できないで「はねい」としか言えないとき、なぜそういうことになるのかを理解して、適切な指導ができる自信がありますか?
「おばさん」と「おばあさん」の区別がどうしてもできない人にどうやってそれをわからせますか?

英会話学校で教えているネイティブのうち何人が、timeというときの「t」は帯気音で、betterのときの「t」は「たたき音化」が起こって日本語の「ラ」に近い発音している、ということを意識しているんでしょうか?

ですから、発音矯正は「日本語と英語の音声学を学んだ日本人教師」がベストなのです。

問題は、そういう人があまりいないということなのです。
本当は、基本的に英語の教師をしている人はみなそれができなければなりません。それができない人には教師の免許を取らせなければいいのです。
でも現実にはそれができる人はごくわずかしかいません。そこに、日本の英語教育の最大の問題点の一つがありますね。教師養成コースに、第二言語習得理論、日英比較音声学、音声指導実習というような科目を入れればいいと思うのですが。

日本人の英語教師がだめなものだから、日本人には発音の指導はできないのだという思い込みが入ってしまったことを一概には責められません。
英語教育で発音指導を一度も受けたことがないために、発音指導とはどういうものがわからず、何となくネイティブならば、と思ってしまっているという状況なのです。

アマチュア本を見ていると相当にネイティブ信仰が入っているケースが多いです。日本の英語教育に失望してネイティブに走っている姿が見えてきますが、これはまた英会話産業の思う壺ですね。

本を書くような人は勉強法についていろいろ考えているはずですが、それでもこの程度ということですね。発音教育の貧困ということが日本の英語教育界の深い闇です。その貧困のために、なんとか耳というような音声学から見れば微妙な本が喝采を博したりもするのです。

本音を言えば、アマチュアの英語学習法本にはあまり手を出さない方がいいですよ。ちゃんと知識のある人に聞かなくては。私がおすすめするのは、安河内哲也さんの『できる人の英語勉強法』と、井上大輔さんの『捨てる英語、拾う英語』あたりです。伊藤サムさんの『英語はやさしく、たくさん』もおすすめですね。
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comment

Secret

No title

2013.05.27.11:00

私もそう思います

承認待ちコメント

2013.07.26.23:59

このコメントは管理者の承認待ちです
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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