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TOEICの勉強をしていてはTOEIC990点は取れない??

2011.10.27.21:34

よく知られていることだとは思いますが、TOEIC900点というスコアはたいしたことありません。
ただ、いちおう仕事で英語を使うのにはさしあたり困らない程度ではあります。
それでも860点か900点くらいの人で、洋書を一冊も読み切ったことのないという人も少なくないのです。
また、英語のドラマを字幕なしでわかるかというとほとんどわからないのが普通です。

だから、それ以上の英語力というのがあります。
その目安は、「英語による知的生産物をストレスなく享受できるレベル」と定義したいと思います。

簡単に言えば、

・一般向けに書かれた英語の本(専門書ではないもの)を、ほとんど辞書を引かなくても読むことができる。
・また、その本を普通の速度で朗読した音声を聞いて、その内容がほとんどわかる。

ということです。つまり、英語での大学の講義とか講演、セミナーなどの内容がわかるということですね。

つまり、ただ必要があって外国人とコミュニケーションできるというだけではなくて(それがTOEIC860点ですが)、英語によるそういう知的な活動にあまりストレスなくついていける、ということです。

それができれば、日本語の何倍にもなる膨大な知的生産にアクセスできることになり、英語ができるメリットは爆発的に広がるのです。
辞書を引き引き、一冊を一ヶ月もかかって読むのとはまったく質の違う世界です。200ページの本を三日くらいで読むのです。日本語の本と同じとはいえないまでも、1.5倍くらいまでの時間で読むことです。

ただ、映画・ドラマはかなりむずかしいです。これはなぜかというと、ネイティブどうしのくだけた会話では音変化が大きいからです。ドラマ100%の聞き取りは特に必要ありません。英語字幕を出して見られるだけでも十分ですし、字幕なしだと70%くらいの理解でいいと思います。それ以上は英語圏に住んでいる人でもそんなに簡単ではありません。

この英語力をつけるのに、TOEICの勉強はあまり効果的ではありません。

さっき、有名TOEIC講師の『TOEICテスト ムダな勉強はやめなさい!』という本をリサーチのために読んだのですが、この高橋基治さんも、TOEICは860点まで取れば十分で、それ以上はTOEIC以外の勉強をした方がいいと言っています。これは正論ですね。
990点を取るというのは、私のように英語を商売としていていわゆる「箔付け」のためにメリットがあるという人だけでもいいのです。
つまり、860ないし900から990に上げるというのは、英語力向上のためにやろうというのならばあまり効率的なものではなくて、990はあくまでその「社会的ステータス」のために獲得するものです。

というのも、900点を超えるレベルになると、TOEIC対策の勉強はとても効率が悪くなってくるのです。
それよりも、TOEICではない「ふつうの英語」をメインにした方がいいのです。ふつうの英語とここでいうのは、「英語での知的生産がおこなわれる標準的なレベルの英語」をさします。はっきり言って、このレベルはTOEICの英語のレベルより高いのです。
つまり日常会話ではなくて、いわゆる「書き言葉」です。音声でも、オーディオブックはもちろん、講義やセミナーは書き言葉を元にしてそれを口頭で発表しているものです。知的生産の主役は書き言葉です。
それがすらすらとわかるというのが900の次のレベルなのです。

レベルが高いというのは、まず、TOEICの英語はだいたい3700語くらいの語彙でできていると言われます。これは普通の書き言葉より低い水準です。書籍やニュースなどの英語は、だいたい5000~6000語くらいのレベルになります。
ですから、この英語にダイレクトに取り組み、格闘した方が、TOEICレベル以上の英語力を鍛えるには有効です。それに、自分の興味に合わせて教材は無尽蔵にあるのですから飽きるということはありません。

『Beyond990』という本があって、990点の取り方を示しているのですが、そこでも、990点を取るには、TOEIC以上の英語力を身につけて、たとえて言えば1500点くらいの力をつけてしまって余裕で990を取るようにしろ、と言っています。そこでその本ではTOEICの問題を使いながら高地トレーニングをやろうとしています。速度を速くしたり選択肢を増やしたりしてむずかしくするのですが、これは苦肉の策というべきでしょう。問題をTOEICレベルより難しくしてしまうとTOEICの本ではなくなるからそれはできないが、TOEICを超えるレベルのトレーニングをさせたい、というのは本来矛盾したことなので、この本の企画自体が実は矛盾しているのです。言葉のはしばしから推測できますが、著者たちもその矛盾にはじゅうぶん気がついています。でも企画としてこういうのもありだろう、として作ったという事情が見えます。

ということで、Beyond990の趣旨には大賛成ですが、それは本来TOEICの問題でやるべきものではなく、知的生産の英語という「大海」に泳ぎだしてやるべきものなのです。

ただ、どうしてもTOEICを極めたい、TOEIC形式で高地トレーニングをしたいという人には、このブログでも話題になっている「韓流TOEIC本」の世界があります。
しかしこれは基本的にTOEICマニア向きだと思いますので、一般には、脱TOEIC路線をおすすめしたいと思います。

要はこういうことです。

「3700語レベルのTOEIC英語で90%がわかる」
  ↓
「6000語以上のレベルのナチュラルスピードの英語で90%わかる」

これが900点前後の人が進むべき方向なのです。
「3700語レベルの英語の理解を90%から99%に上げる」という方向に勉強するのはむしろ遠回りなのです。


そのように「6000語以上でナチュラルスピードの英語」が理解できるようになれば990点の素地ができますが、TOEIC満点のためには多少の対策は必要です。それはテスト直前にテクニック本と模試をやればいいと思います。
私も最初はTOEICの出題パターンに慣れなくて失点してましたが、苦手パートでイクフンの「解きまくれ」をやったらすぐに満点を取ることができました。
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プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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