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キムタツ『ユメ勉』について

2012.08.23.11:32

勉強法本シリーズ、つづいて灘高の木村達哉氏の『ユメ勉』です。

ユメ勉 ~ 夢をかなえる英語勉強法&参考書 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)ユメ勉 ~ 夢をかなえる英語勉強法&参考書 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)
(2010/01/23)
木村 達哉

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こちらは中高生向けの内容です。学校の授業を中心にしつつもそれを発信型の英語につながるようにするやり方をすすめています。CDを聞くなど必ず音声を入れて覚えるということと、いったん理解した英語を音読⇒暗唱⇒暗写、というプロセスで定着させることをすすめます。

これも、今まで見てきた「まっとうな勉強法」の原理で、それを中高生に向けて具体的に教えるものといえそうです。この段階でこの本を使え、ととても具体的で、巻末の参考書リストも充実しています。

英文を音読・暗唱するというのは、野口さんの「超英語法」とまったく同じです。

あえて言えば、「やさしい英語の多読」をもう少し早い段階から入れてもいいのではないか・・・と私なら考えますが。ただ、初めのうちは精読の比率を高く、徐々に多読を多くするのは基本的な方向として正しいです。

なお、この本には、話すこと(スピーキング)は出てきません。

日本人のための英語学習法としては、このように、リーディングを中心としてそれを音読・暗唱でインプットすることをメインに据えていくのがいいと思ってます。
文科省は「日本の英語教育で話せるようにならないのは会話の練習をしないからだ」と単純に考えて会話の授業を増やしたりしてます。そういう「話すためには会話授業だろう」というのはなんとなくネイティブ講師を雇って授業をやらせている多くの学校にも言えることですね。
しかし、あくまでもインプットしたものしかアウトプットはできないので、アウトプット練習がインプット練習の時間より多くなったり同じになったりするのはおかしいのです。理想的にはその比率は1:9か2:8です。

話せないのはインプット量が不足しているせいであり、会話練習を多くすればできるようになるというものではないです。英会話学校に通ってそれ以外の勉強を何もしていない人は何年たっても上達しません。

実際には、サバイバルレベルの基礎的な会話の練習くらいしかできないとすれば、それはスカイプ英会話などに任せて、貴重な授業時間はリーディングを中心としたインプットにあてた方がいいでしょう。
ということで、私はいま、会話授業については否定的とまではいかないまでも、効果は限定的という見方をしています。
ただ、今までの学校では、音声面の指導が少なく「目だけの勉強」になってしまう傾向があったこと、英文の理解までで終わってその定着に時間を割かなかったこと、こういう弱点があったのですが、木村氏の方法はそれを十分に意識したものになっています。
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『世界一わかりやすい英語の勉強法』

2012.08.21.22:57

本を書くために英語勉強法も本をたくさん見ていますが、最近有名な関正生さんの勉強法本です。

世界一わかりやすい 英語の勉強法世界一わかりやすい 英語の勉強法
(2011/06/15)
関 正生

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これもかなりまっとうな本ですね。
関さんの本はすでに4,5冊は持ってるんですが、細かいところにツッコミを入れたいことはあっても全体としてはよくできてるものだと評価してます。
こちらの勉強本も、基本を過不足なく押さえていてよいと思いますね。
単語を覚えるのに「基本的に回数が足りないだけ」というような指摘はその通りです。今まで、あまり本では見かけなかったですが。
すごく目新しいことは書いてませんよ。基本ばかりです。

1年で10刷と売れてますね~

まっとうな勉強法の本を何冊か見ると、みな基本は同じであることがわかるので、わかったらそれ以上読まず、実践あるのみということですね。
大事なのは、英語を教えているプロが書いてる本を見ることです。自分で勉強してTOEIC900点取ったとか、そういう本はその人にあう勉強法であったということしか確かではないですが、実際に多くの人に教えて効果があったことが実証されていることが大事です。

あと、この本も独学を前提にしてますが、英語は基本、自分で勉強するものですね。

英米の英語教授法(TESOL)の議論を見ていると、教室で教えることを前提とした話が多くて、独学するということは想定されてないことが多いようです。
しかし、その教授法のメソードがいいものだとしても、それは、十数人くらいのクラスで、週五回か六回やって、それが何年も、というような条件で成り立つようなもの(しかも英語と似たヨーロッパ語を話す生徒に)なので、日本の条件では通じにくいものが多いです。日本の英語学習者にとっては、どうしようもないですね。
ですので最近は、いちおう海外の教授法の知識はフォローしますが、日本人の英語勉強法を考えるときはあまりそれにとらわれず、実際に日本人が試して効果があったものをまとめるほうがいいと思ってます。
第二言語習得研究とか、それに基づいたフォーカスオンフォームとかのメソッドがあるのですが、それを自分で勉強する時のやり方として落とし込んでいくことも必要かなと感じます。

『英会話ピッタリ表現でぃくしょなりぃ』と、ドラマの効用

2012.08.20.23:16

このまえ English Journal でソレイシィさんが出てたので、気になってこちらの本を買ってみました。

英会話ピッタリ表現でぃくしょなりぃ英会話ピッタリ表現でぃくしょなりぃ
(2010/12/25)
スティーブ・ソレイシィ

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『英会話きちんとフレーズ100』と同様、日本語に「ぴったり」の英語を提示するという趣旨ですが、これは「でぃくしょなりぃ」と言うだけあってボリュームが相当です。CDはついてませんが。

気がつかなかったことがいろいろあります。ボールペンは ballpoint pen ではなくて単に pen が普通だとか。たしかにいわれてみると ballpoint pen と誰かが言っているのを聞いたことがないのに気づきます。

こういう本が出るってことは、裏をかえすと、和英辞典はあまりいいものが出てないぞ、ということでもあるんですね。

これは日常会話に使う英語が中心になってます。
この辺の表現を私が何で覚えたのかと考えてみると、相当、ドラマなどで知ったものが多いですね。
ドラマは状況があって言葉が出てくるので、使い方のニュアンスがわかりやすいです。

前に、ネイティブのインフォーマルトークは難しいぞ、という話をしました。
ドラマは、たしかに聞き取りとしては難度が高いのですが、そういう日常表現を覚えるのは便利ではあります。

考えてみますと、私も、ドラマの英語を全部聞き取っているわけではないですね。むしろ、英語字幕で見て、つまりリーディングとしてそういう表現を自然と覚えた、ということはあるように思います。

ニュースだけやっていても、そういう英語は覚えられないので、会話に重点を置くなら、リスニング教材ではなくて英語字幕中心でドラマを見る、という使い方は有力です。もちろんリスニング力もやっただけは伸びますよ、全部わかるようになることはないですが。

そういう意味では、映画などよりTVドラマの方がいいかもしれません。
ですので、ドラマDVDも会話表現にフォーカスするときは有力なツールです。

コメディとか見ない限り、「社会の窓」は英語で何というか、などニュースをいくら聞いたって覚えることはないですからねえ。

それをやっても、「仕事で使える英語力」の路線には入らないですが、英語をやる以上ある程度は会話表現も知ってないといけないので、ドラマDVDも適宜取り入れるのはいいでしょう。その場合、すべて字幕なしでわかるようになるまでがんばるなんてことは必要なくて(やりたい人はもちろんやっていいですが)、ただ英語字幕を出してひたすら数多く見る、だけやっていればいいんじゃないかと思います。その方が楽しいですし。

英語字幕が大事なところなんで、テレビでやってる日本語字幕のものを見てもあまり役に立ちません。
投資になりますが、DVDを買わなくては。
DVDは、海外から買った方が安いですね。リージョンや信号方式の問題はありますが。私はイギリスのアマゾンから買ってます。PALも見られるプレーヤーを持っているので。

ただ、内容のある会話をするにはやっぱり「書き言葉の音声的インプット」をしないと無理ですよ。

ドラマDVD学習法についてはこちらを。

捨てる英語勉強法<リスニング編>ネイティブ英語は海外ドラマで学ぶ捨てる英語勉強法<リスニング編>ネイティブ英語は海外ドラマで学ぶ
(2010/03/27)
井上 大輔

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野口氏の英語学習法とニュース英語

2012.08.18.22:18

こちらのレビューをしてみます。有名な野口氏の英語学習法の本です。

「超」英語法 (講談社文庫)「超」英語法 (講談社文庫)
(2006/10/14)
野口 悠紀雄

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ポイントは、英語を聞くことを中心にすべきだということ、そして話すことは聞ければ何とかなるものである、ということです。そこでネットからニュースを入手して聞くことをすすめています。

ここで書かれている学習法は、理にかなっていて、前の曽根氏の指摘していたフェーズ2の勉強法に近いものだと思うのですね。
ただ野口氏の場合、その学習法が最適であるという層がある程度限定されているのではないか、と思いました。
つまり、高校までの間に読む方はかなりできてきているが、音声インプットはいまいちであるという、わりと古いタイプの受験英語を経験した人々にフィットするものだと感じます。つまり、野口氏自身がモデルですね。

たとえば、教材はネットから取ればいい、なぜお金を払って教材を買うのかわからない、と書いていますが、英語力によっては、ニュースも語注や和訳のついている本から始めたい人もいるでしょう。ニュースを最初から注釈なしでわかるところからスタートできるのは、受験英語でも相当上位層にあった人だけですよ。
そのへん、誰でも100%妥当するとは言いがたいところもあります。
その意味で、段階別に学習法を変えるというところまで言及している曽根氏の本の方が視野が広く、英語教育のプロ的な見方だと思います。

ちなみにニュース英語入門への私自身のおすすめとしては、CNN English Express のような学習雑誌とか、和訳・スクリプト・CDつきの本から入ってそれをインプット(時には音読など)していくのと、テレビのものとしてはNHKの定時ニュース(夜7時と9時)を副音声で見るのをすすめます。日本のニュースの方が新聞に書いてあることと同じですし、内容がだいたいわかった上で英語を聞けますから、見知らぬ海外のニュースよりとっつきやすいです。過去に私はNHKニュースを2年くらい聞いてすごくリスニング力が伸びました。ただこれももちろん、「読み」の力があることが前提です。

でもまあ、CNNやBBCのニュースは、日本ではあまり報道されない世界の事情がわかるので見る価値はあるんですね。最近、BSのDlifeという新しい放送局で BBC World News が見られるようになったので時々見ています。英米的なバイアスがあることは承知の上ですが。
しかしスクリプトなしで最初からCNNやBBCは挫折のもとです。スクリプトなしで見るならNHKからスタートしてください。海外放送局のニュースは、ネットでスクリプトつき動画を見るようにします。PBSのNewsHourもいいですね。

ニュースが好きではない人はオーディオブックでもいいでしょう。

つまりポイントは、いわゆる「英会話」(曽根氏言うところのフェーズ1のサバイバル英会話)ではなくて、「書き言葉の英語」を音声としてインプットする、ということです。そこが大事なところなのです。

もちろん会話のスキル的なものもありますから、会話系の教材のCDを聞くことはもちろんいいんですが、それだけでは不足だということです。英語力を伸ばすのは書き言葉系のインプットであって、TOEICにも直結するのです。

話を戻しますと、野口氏の『超英語法』は、受験英語がかなりできた人には向いている、と言うことができます。
ただ、話す訓練もスカイプ英会話で多少平行してやる方がいいのではないかという気がします。

最後になりましたが、野口氏も、ネイティブのインフォーマルな英語については捨てろ、と言っています。それが最も難しいもので、多くの場合そこまでやる必要はないということです。

世の中にはそういうインフォーマルな表現を教えようという本もあって、「これを知らないとネイティブの仲間に入れてもらえないぞ」などと不安をあおる宣伝文句をつけたりしてますが、まったくけしからんことで、そういうものに惑わされてはいけません。
そういうのは、ちゃんとした英語ができるようになった人が、今度はドラマにでも挑戦してみようかという時に参考にするものです。野口氏も最近になってそういう英語を始めてみたと書いてますね。

含蓄あることば

2012.08.18.12:36

曽根宏さんの『品格ある日本人の英語』に印象的なことが書いてありました。

英語を話すとき、日本人はネイティブになることはできませんし、またその必要もありません。小説家の赤坂真理さんは、アメリカ留学時代に英語の先生(もちろんアメリカ人)に「日本語訛りをなくすな。あなたが英語を話すことを『普通』と思われてもダメ。相手の制空権に好んで入るのは、つまりネイティブ・スピーカーのように話そうとするのは、立場が下だとみずから宣言するようなもの」と言われました。その時はあまりわからなかったけれども、20年以上時がたって、すごさがわかった忠告だったと述懐しています(日本経済新聞2008年6月28日朝刊P19 コラム「赤坂真理のうらやましい悩み」より抜粋)。  (P.43)


なかなか含蓄ありますね。つまり鈴木孝夫さんが言っているのはそういうことなんですよ。それが言語戦略であって、外国語とは政治であるということの意味なんです。
そういうことを、アメリカ人ではふつうの英語の先生がわかっている、ということなんですね。日本では鈴木孝夫氏がいっしょうけんめい言っているが、あまりわかっている人がいないことなのです。

ほかにも、曽根氏が見聞した、日本人が英語で渡り合う時の心構え、やり方などの話がいろいろあって大変面白いです。
相手に気合い負けしてはダメなんですね。そういうことがわかっているのが国際人なのであって、英語がペラペラと話せれば国際人というわけではないんです。勉強になりますね。
ネイティブを教わる対象と思っている限り日本人は劣等感から抜け出せないです。その問題はわりと真剣に考えた方がいいと思います。英語教育が英米追従の雰囲気を作ってしまっていないか、ということも考える必要があります。


岡倉天心とか新渡戸稲造、鈴木大拙などの偉さもまたわかります。


追記: 検索してみたら、TEX加藤さんもまったく同じところを引用して感心していました。
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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