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英語の音声システムについての基礎知識と技能

2012.03.24.00:45

私は静先生の影響もあって発音練習、といいますか正確には「英語の音声システムについての基礎知識と技能」を身につけることをすすめているわけですが、

その理由は、

1.重要であるにもかかわらず、学校ではまじめに教えられていない状況がある。
2.それほど身につける項目が多いわけではなく、少しやればリターンが大きい学習である。

ということがあります。
静先生のブログとか見るとよく書いてありますが、とにかく学校の英語の先生で、発音が下手な人が多すぎるという状況があります(「ありました」と書きたいところですがそうでもないらしい)。
これは前にも書きましたが、英語の教員の需要数に対して必要な英語力を身につけている人材が集められていない状況があるので、本来人に教えるレベルじゃない人も教員になってしまっているらしいです。
たぶん、学校では、英語力よりも生徒指導力の方が重視されているのかもしれません。
「生徒がいい発音をするとクラスの中で浮く」などという現象は、英語の教師の発音がよくてみなが「かっこいい」と思っている限り決して発生しないことです。

また、生徒に英語を「聞かせる」のも量が少なすぎますし、とにかく、音声面の指導が少なすぎです。それを象徴するのが、「教科書にCDがついてない」ということです。今時英語の学習書でCDがついてないものを探すのも大変ですよね。

しかし発音というのはフィジカル・トレーニングですから、やればやっただけすぐに上達していくのです。つまり見返りの多い学習です。
これに対して、文法をとってみると、やればやっただけ上達するわけではないのです。
え?そうなんですか? という声も聞こえてきそうですが、第二言語習得研究によれば、文法の問題をいっしょうけんめい解いたからといって文法ができるようになるとは必ずしも言えないのです。文法に関しては決して「積み上げ」ではないのです。そういう、数学みたいな勉強のしかたが英文法でもできると考えるのはまったく誤りです。
そういう勉強を塾なんかでも教えてますが、それはもう古い学習理論に基づいた正しくない勉強法です。
いや、文法をやらなくていいわけではないんですが、文法問題を解くことによっては文法は身につかないといっています。今それは主題ではないのでおいておきまして、

話を戻しますが、発音に関しては、極端な意見が見られます。

1.いくらやってもネイティブのような発音になるわけではない。
2.だから発音に関しては日本人流でいいんだ。

こういう単純な論法があるのですが、よく考えてみると

1.いくらやってもネイティブのように文法がわかるようにはならない。
2.だから文法はやらなくてもいいんだ。

こういう論理構造と同じわけで、飛躍しているのがわかりますね。

発音練習の目的は、ネイティブ並みになることではなく、「国際的に通じる、ノンネイティブとしての標準レベル」なのです。
そして、発音というのはただ個々の音が標準に近く発音できるということだけではなく、「英語の音声システムの基本的特徴」についての基礎知識を学ぶ、ということでもあります。
それは基本文法と同じように重要なことなのです。

たとえば私が前のレビューであげたような項目、「弱形、帯気音、フラップT、リエゾン、鼻腔開放」など、何のことを言っているのかさっぱりわからない人もいるかもしれません。
しかしそれは、いってみれば、現在完了とは何とか、分詞構文は何っていう話と同じレベルなんですよ。自由に使いこなせるというわけではなくても、知識として知っておくべきことなのですね。
つまり、音声面に対する基礎知識というものがあって、それを知るべきなのだという意識が低いのです。この責任は、それを教えてない中学高校の英語教育にあるのですが。

それはそんなにたいへんなことであるわけではなく、『絶対発音力』や『英語舌のつくり方』を通読すれば身につくようなことなのですから、そんなに時間がかかるものではなく、知ったとすればたいへんにリターンの大きいものになるのです。英語の音が「なぜこのように発音しているのか」がとてもクリアに理解されてきます。というわけで、そういう分野への投資をおすすめするわけです。

英語は実技科目ですからね。正しいセオリーを知り、そして実際にやるだけです。
何が正しいのかを知らなければ努力もしようがありません。知ることから始まるわけです。
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ゼロからスタート英語発音猛特訓

2012.03.24.00:16

発音本のレビュー。
2011年2月発行の、『ゼロからスタート英語発音猛特訓』(関口敏行著、Jリサーチ出版)。

まずこの本の特徴は、どうしても必要な重要な子音・母音にフォーカスし、あとのものは多少不正確でも通じるレベルならいい、という割り切りをしていることです。
r,l,f,v,thなどの音にはとても詳しく、やり方が図解されています。

その部分は見るに値するものですが、基本的には「割り切り」をコンセプトに作られていることを承知しておきましょう。「日本語の○○でOK!」がとても多いです。つまり日本語と同じ音でなんとか通じるものはそれ以上に追求せず、日本人ができない音にフォーカスするということです。

この本でも「r」の練習は、「ウ」とすぼめるところからスタートします。
実際、「r」は、舌の反りよりも、とにかく口をすぼめることを徹底してやった方がそれらしい音が出やすいことは経験上言えることです。

ゼロからスタート英語発音猛特訓 (ゼロからシリーズ)ゼロからスタート英語発音猛特訓 (ゼロからシリーズ)
(2011/01/20)
関口 敏行

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NHKのやりなおし英語講座

2012.03.23.16:27

今度のNHKでは、いろいろと「やり直し英語」の講座が開講されるようです。

NHK高校講座

チョー基礎から始めよう! ベーシック英語

中学校の3年間で学習する英語の内容を
基礎の基礎から学べる高校講座

「やり直し英語」っていうのも需要があるものだと思うのですが、なかなかこれといった教材がないですね。私は調べてみたことがあるのですが、ほかの外国語にあるような「英語入門書」という本がほとんどないのです。

後これは、もう少しカジュアルな印象。

おとなの基礎英語
ちょっとした会話くらい楽しみたいと
「英語に対する憧れ」を抱く人向けの語学番組


発音学習書三種の比較

2012.03.23.14:06

発音の本ですが、もう一ついいものに、野中泉『英語舌のつくり方』があります。
英語耳とか英語喉は、学問的には「?」もあるような本ですが、この英語舌はかなりまっとうなもので、いいのではないかと思います。
リエゾン、リズムのことまで、英語の音声面についての必要知識がコンパクトにまとまっているという点では『絶対発音力』と遜色ありません。むしろよりコンパクトでわかりやすい面もあります。

「フラップt」がしっかりのっていること、またtnの鼻腔解放まで触れています。
また、r音色のある ɚ には触れていません。それと、ʌ の音を、ə の強形として説明しています。それでアに似た母音は三つだとするのです。
たしかにʌ ə の二つは長音位置が近いので、実用上は同じ音の強弱とみても差し支えないようです。ただ、そういう説明をすると、ʌ もある程度脱力して発音するという言い方になるでしょう。

靜『絶対発音力』、野中『英語舌』、黒川『英語発音の筋トレ』を比較してみました。


          靜  野中  黒川
early, errの母音  ə   ə   ɚ
ə と ʌ    別  同一視  別(注で同一視可能と説明)
 ɚの説明  ×   ×   ○
リズム・リエゾン  ○   ○   ×
弱形        ○   ○   ×
フラップt      △   ○   ×
鼻腔解放      ×   ○   ×
側面解放      ×   ×   ×
帯気音       ○   ○   △
ʃ ʒ ʧ ʤ 区別  △  ×  ○
スペリングの対応  ○   ×   ×
息の量       ×   ○   ×
喉の通り      ×   ×   ○

思いつくまま列挙してみましたが、本によって結構違うことがわかると思います。
特に『筋トレ』は、単音に特化しているだけでなく、 ɚを意図的に使って練習をしていますので、その特徴を理解しておくといいでしょう。
逆に、アメリカ発音の ɚ はむずかしいので省き、イギリス式で代用するという発想もそれなりに合理的ですね。発音学習書を選ぶときは特にこの音がどう扱われているか注目するといいです。

で、音声知識の全体を知る上で靜・野中は甲乙つけがたいと思いますが、靜本はとにかく練習が豊富、野中本はコンパクトさがあり説明がわかりやすいです。可能ならば両方買って、どちらかをメインにしてもう一方を参照するのがおすすめです。

なおここで、野中本へのちょっとしたツッコミをしておきます(靜本については前にずいぶんツッコミましたので)。
米英どちらに統一した方がいいと言いつつ、 ɚ のことが出てないのはおかしいのでは?
ウの長短で、短い方がやさしいと言っているが、日本人にはむしろ強く唇を突き出す長いウの方がむずかしいのでは?
ar, or の扱いが簡単すぎる。
あとやはりスペリングとの対応は簡単に触れてほしい。多くの学習者は、語末の silent e のことも習っていないことが多いので。


追記: 今回の教科書は、『英語舌』にしてみました。『絶対発音力』もいいけど、二年つづけてそれを使ってるので、ちょっと違うことをしてみたくなったのと、どうしても文章の量が多くて教室では使いにくいところがあると思ったのです。独習にはいいんですが。
『筋トレ』は、やはり、単音しか扱ってないので、その他のことについてべつに教材作らないといけなくなりますね。それと、上に述べた方針なので、father / farther を必ず区別しないといけなくなるわけですが、それはどっちでもいいじゃん!(オプショナルである)という立場もあると思うので、この本を使うとどうしても必ずこの区別ができないといけなくなるので、その点が制約されるように感じました。

発音練習は順番が大事

2012.03.22.15:51

そろそろ、4月からの教科書を注文するのも期限なんですが、『1日5分英語発音の筋トレ』を使おうかと検討中です。
というのは、まず、薄いこと。知る必要のあることが最低限だけのっているというのがいい。いろいろたくさん書いてるのは独習にはいいんですが、なかなかこなすのが大変になりますので。
『絶対発音力』流のエクササイズというのはこちらで用意することができるので、教科書としては個々の音の出し方だけがシンプルにのっているのがよいかと。
それと、練習する順番が考えられている、ということです。
どの音からどういう順番でやっていくかというのも個々の教師のノウハウなのですが、この本にはその著者のノウハウがあります。本によっては単純にアに近い母音から始めるスタイルもありますが、順番は大切です。
この本では ɚ を導入して、それが r と同じだということ(アメリカ標準発音では)に注目して r をできるようにしていく、という流れがなかなか面白く、やってみたいなあと思ったわけです。(なお、英語の「r」は、学術的に正確には ɹ という発音記号ですが)

ただこの本はやはりシンプルですので、英語の音声的面の基礎的な知識を得るにはやはり静先生の『絶対発音力』をお勧めします。
プロフィール

SH

Author:SH
東京大学大学院総合文化研究科出身。現在、地方の公立大学教授。第二言語習得研究・音声学等の知識をもとに25年以上にわたり英語教育に携わる。
TOEIC990点。
英語のほかいろいろな言語をやってみました。フランス語・ドイツ語・中国語も本を読むことはできます。現在は中国語とロシア語を学習中で、自分の外国語学習理論による多言語習得をめざしています。ハングル能力検定3級合格。

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